遠距離介護が増加している主な理由

遠距離介護とは、家庭内における被介護者と介護者が同居し、つきっきりで介護する在宅介護とは違い、家族同士が遠く離れた場所に住みながら介護をする状態のことを指します。「介護」という言葉でイメージするのは在宅介護かと思いますが、近年はむしろ、遠距離介護が増加する傾向にあることはご存じでしょうか。その理由はいくつかあります。一つは、介護のために引っ越しすることや、被介護者と同居する必要がない、といった点です。

現代では、結婚や自分のやりたい仕事のために、実家を離れて別居する家族は少なくありません。そんな人が介護のために実家に戻ってくることは、自分の望んだライフスタイルを手放すことに等しいのです。また、被介護者が自分の両親だと仮定すると、そのころには介護者にも子どもがいる場合もあります。その場合、費用としても子どもへの負担としても、転居という選択は難しくなってしまいます。そのため、自分の生活をある程度維持した状態で必要な介護をすることができる遠距離介護が、現実的な選択肢として浮上してくるのです。

また、被介護者にとっても自分にとって慣れ親しんだ環境を離れて、介護をしてくれる家族のところへ自分から引っ越していくのは、精神的にも肉体的にも相当の負担になります。そもそもそういった移動が簡単にはできないからこそ、介護が必要だという見方もできるでしょう。つまり、介護をする側にとっても介護を受ける側にとっても、なるべく自分の現状を変えたくないという希望があり、その結果として遠距離介護という選択肢が生まれたのです。